ショートレビュー（短期調査）とは？
ショートレビュー（短期調査）とは、公認会計士または監査法人が株式上場を検討している会社に対して、株式上場に向けての課題を洗い出すための調査をいいます。
株式を上場するためには、証券取引所が要求する審査基準をクリアすることが必要となりますが、その内容は利益額や流通株式数などの形式要件のほか、予算管理など社内管理体制の整備や、適切な情報開示体制の整備など多様なものとなっています。
これらの体制を整備するため、現状の把握と課題の洗い出しを目的としてショートレビューは実施されます。
ショートレビューを受けるタイミング
株式上場に向けた多くの課題について、株式上場を目指す早い段階から網羅的に洗い出し、それぞれの課題について最終的な解決までのスケジュールを策定しながら対処していくことになりますので、上場を目指す早い段階でショートレビューを受けるべきと考えます。
具体的には、上場申請予定年度から3期以上前まで（直前々期の期首まで）にはショートレビューを受けておくことをおすすめします。
主な調査項目
- 会社の概要
- 株主構成
- 事業の内容と経営上の特徴
- 事業内容の上場適格性と事業の強み、弱み、機会、脅威
- コーポレートガバナンス体制
- 役員構成の妥当性、株主総会・取締役会の開催状況、監査役監査の実施状況、内部監査の実施状況、稟議制度の整備・運用、役員報酬額の適切性
- 社内規程の整備・運用状況
- 事業計画と予算実績管理体制の整備・運用状況
- 業務管理体制の整備・運用状況
- 販売管理、購買管理、原価計算制度、固定資産管理・人事労務管理・資金管理・情報システム
- 会計管理体制の整備状況
- 採用する会計方針の妥当性、連結会計体制の整備状況、ディスクロージャー体制の整備状況
- 関係会社管理体制の整備・運用状況
- 会社と役員等との取引の妥当性
- 資本政策
- 株式公開スケジュール
主な準備資料
- 定款、組織図、登記簿謄本、社内規程
- 会社案内、製品案内
- 株主名簿、役員一覧、株主総会・取締役会議事録
- 役員等との取引一覧表
- 過年度の決算書、勘定内訳書、税務申告書
- 事業計画書、予算書
- 業務フローチャート
- 取引先との契約書、帳票書類（請求書、領収書等）
- 関係会社一覧（会社名、所在地、株主構成などの概要が分かるもの）、決算書、親会社との取引一覧表
- 情報システムの一覧表、システム鳥瞰図、仕様書など
上場予定がなくてもショートレビューを受けてみては？
上記のとおり、一般的にショートレビューは上場を目指す会社が上場に向けた課題の洗い出しを目的として実施されるものですが、上場会社並みの経営管理体制を構築したい、あるいは現時点での経営管理体制の課題を洗い出したいと考えている経営者の方々にも大いに参考となるものです。
当面上場は考えていないという経営者の方々も、将来の会社経営のためにショートレビューを受けてみてはいかがでしょうか。