役員報酬の決定方法

役員報酬とは?

「役員報酬」とは、法人が役員に対して支払う報酬のことをいいます。
役員報酬は、労働の対価として従業員に対して支払われる「従業員給与」とは異なり、「利益の配当」という性質があるため、特に税務上、損金参入の可否ついて厳しくルールが定められています。

 

役員報酬の損金算入が認められる3つのパターン

  • 定期同額給与
    毎月同額の報酬を支払うというもの。最も基本的でポピュラーな方法です。
  • 事前確定届出給与
    事前に届出したものを同じ日時・金額で報酬を支払うというもの。ボーナス等の月次で報酬額を変動させたい場合に採用される方法です。
  • 利益連動給与
    「同族会社」でない会社が、その事業年度の利益に関する指標を基準とした金額の報酬を支払うというもの
    「同族会社」とは「会社の株主の3人以下、およびこれらと特殊な関係にある個人・法人が議決権の50%超を保有している会社」をいいます。日本の中小企業のほとんどは同族会社に該当するため、利益連動給与を採用する会社は稀と考えます。

 

役員報酬の決定に関するルール

  • 役員報酬は定款または株主総会で決定しなければならない
    株主総会において各取締役の個人別の報酬額を決定する方法に加え、「役員報酬の総額」と「取締役会で各取締役への配分を決定する」旨の決議をすることも認められています。一般的に採用されるのは後者です。
  • 会社設立から3か月以内に金額を決定しなければならない
    税務上、定期同額給与と認められる条件として、会社設立から3か月を経過する日までに金額を決定しなければなりません。
  • 金額を変更する場合、会社設立時または事業年度開始日から3か月以内に変更しなければならない
  • 役員賞与を支給する場合には、「事前確定届出給与」として税務署に届け出なければならない
    提出期限は株主総会などで役員賞与を決議した日から1か月以内とされています。

 

役員報酬と税金

上記に従い、適切な方法で役員報酬の手続を行った場合でも、役員報酬のうち、不当に高額な部分については損金として認められませんので注意が必要です。

役員報酬が適正額か否かの基準として、実質基準形式基準があります。

  • 実質基準
    「役員の職務の内容」、「会社の収益」、「使用人に対する給与の支給状況」、「事業規模が類似する同業他社の役員報酬の支給状況」に照らして役員報酬として相当であると認められる金額の範囲内となっていること
    (オーナー社長の家族が名目的に役員になっているケースで、会社が儲かっている場合に税負担の軽減を狙って当該名目的な役員に多額の役員報酬を支払ってしまうと、税務上否認されるのは間違いなさそうです。)
  • 形式基準
    株主総会等の決議(または定款の規定)により定められている報酬限度額以内となっていること
    そもそも、株主総会の決議や定款の規定がない場合、会社が役員報酬を支払っても税務上損金算入できません。
    多くの会社では株主総会において、「役員報酬の総額」と「取締役会で各取締役への配分を決定する」旨の決議をしていますが、この場合には各取締役への配分額を決定した取締役会の議事録をきちんと作成・保管しておく必要があります。

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