持ち家のケース
メリット
- 家賃等の余計な経費が掛からない
- 自宅の光熱費・水道費・住宅ローン等のうち、事業用の部分の経費算入が可能
- 通勤時間がないため、1日の持ち時間の多くを会社の事業に充てられる
デメリット
- 取引先からの信用が得にくい
- 自宅住所が公開されてしまう
- 会議室の確保ができず、取引先を呼ぶことができない
- 事業の拡大に対応ができない(在庫の増加スペースの確保が困難、従業員の採用がしにくい)
- 住宅ローンの控除枠から外れてしまう部分が出てくる可能性がある
- 仕事とプライベートの区別がつきにくい
住居用賃貸物件のケース
持ち家のメリット・デメリットに加え、そもそも会社登記が可能な物件かどうか、事務所としての使用を認めてくれるかどうか、あらかじめオーナーに確認する必要が出てきます。
また、近隣住民からの苦情等のトラブルが生じないような配慮も求められます。
賃貸事務所のケース
賃貸事務所のメリット・デメリットは、概ね持ち家のケースと逆の関係となります。
メリット
- 取引先からの信用を得やすい
- 会議室の手配が容易で、取引先を呼びやすい
- 事業の拡大に対応がしやすい(在庫スペースの確保が可能、従業員の採用がしやすい)
- 仕事とプライベートの区別がしやすい
デメリット
- 敷金・保証金等の初期費用がかかる
- 毎月の賃料負担が重い
- 設立間もない会社は信用が低く、オーナーの審査が通らない可能性がある
レンタルオフィスのケース
近年、賃貸事務所のデメリットを極力抑えるべく、レンタルオフィスが活用されてきています。
レンタルオフィスは、一般的には個室に区切られたスペースのことをさし、ほとんどの場合、法人登記や住所の利用が可能となっています。
メリット
- 初期費用が安い
- 毎月の賃料負担が(賃貸事務所に比べれば)軽い
- 社歴が短くても借りやすく、素早く事業がスタートできる
- 一般的には共用会議室があるため、顧客を呼ぶことも可能
- 都心一等地の住所が取得できるため、信用力を得やすい
- アクセスの良い駅近物件も多いため、通勤がしやすい
デメリット
- 事業の拡大に対応しにくい(専用利用できるスペースが限られている)
- 他の入居者がいるため、プライバシーの確保がしにくい(会議室が簡単な間仕切りになっている場合など)
- 改装や家具の入れ替えなどができない
- レンタルオフィス運営会社が廃業した場合、待ったなしで望まない移転を余儀なくされる
バーチャルオフィスとは?
近年、利用者が増えているオフィスサービスとして、バーチャルオフィスがあります。
バーチャルオフィスとは、言葉どおり仮想(=バーチャル)の事務所(=オフィス)をさし、基本的には作業スペースはなく、登記などのために住所や電話番号を貸し出すサービスとなります。また、来客の受付や電話の一次対応、郵便物の引き取り・転送といったサービスが付加されている場合が多いです。
バーチャルオフィスは以下のようなケースでの利用が想定されます。
- 持ち家を作業スペースとしている人が、会社住所である自宅住所を公開したくない場合(特に女性)
- 日本全国からの問い合わせや発注を希望しているため、都心一等地の住所がどうしても必要とされる場合
- 設備投資コストを極端に削減したい場合(たまにしか使わないが、ないと困るFAXなど)
- オフィスにいるよりも外出している時間が圧倒的に長いワークスタイルの場合
一方で、下記のような点に注意する必要があります。
- 他社との住所の重複(検索エンジンで自社住所を検索すると、他社のものと重複してしまう)。特に評判の悪い会社が同じ住所になっている場合、取引先の与信が通らない可能性がある
- 郵便物が手元に到着するのが遅くなる可能性がある
- 許認可が必要な事業の場合、許認可の要件を満たさない可能性がある
- 銀行口座の開設や融資における審査がなかなか通らない可能性がある
- 社会保険や雇用保険の申請がなかなか通らない可能性がある